「施設訪問?」「はい、大変久しぶりになるのですが、大丈夫でしょうか?」 騎士の皆の業務が落ち着き、王宮へ再び平和が訪れ始めた頃、学院から帰宅したキリヤナギはセオからスケジュールに関して相談されていた。 毎年行われていた続きを読む
カテゴリー: 本編
第七話:騎士の苦悩
そこには12名の騎士達が集っていた。 奥の壁へ国章の桜紋と橘紋が並べられた広い部屋は、宮廷騎士団の幹部達が集い、話し合いが行われる会議室でもある。 国章を背中に座る数名と、また向かい合わせに座る騎士達続きを読む
第六話:運命の期日
21 その日、ヴァルサスが二限を終えてテラスに来るとそこにはテーブルで泥のように眠るキリヤナギがいた。 誰かが歩いてくる音にも、椅子をひいた音にも全く反応を示さない彼にヴァルサスは起こすべきか数十分悩む続きを読む
第五話:仮初の貴族
17 朝だった。晴天が続いていたオウカ町はその日は曇りの雨予報だ。 キリヤナギは普段通り鈴付きの目覚ましで目覚め、顔を洗い、着替えてリビングへと出てゆく。 朝食の匂いがするリビングでは、テレビがついて続きを読む
第四話:神への反抗
13 キリヤナギは緊張していた。学生選挙の立候補者の募集がおわり、学院は新たな生徒会長を選びに活気で溢れている。 ハイドランジア公爵令嬢、シルフィの派閥へ参加する事を決めたキリヤナギだが、役職を彼女へ相談したところ、続きを読む
第三話:囚われの王子
9 「迂闊だったね……」 セオの言葉にグランジは脱力した思いだった。彼は差し入れを持ち込み、反省室の中にいるグランジへ壁越しに会話をする。 報告書を偽造する形で提出した事で、それは重大過失として認められ続きを読む
第二話:マグノリアの花
5 王宮のキリヤナギの居室フロアへ集う彼らは、緊張した様子で1人の貴族を迎えていた。 その日迎えられた貴族はカナト・アークヴィーチェ。隣国ガーデニアより現れた外交大使の嫡男だ。 彼は自身のトランクケースともう一つ、続きを読む
*第一話:ー序章ー
1 そこは大陸だった。 星に幾つもある陸地の一つにあたる広大な大地。中央の山脈から流れる幅1キロ程の川に分断される大陸は、その両側へ巨大2つの大国が存在する。 東側は、王族を神の末裔として信仰する国。オウカ。 西続きを読む