その季節は夏だった。 屋敷の周辺を駆け回る麦わら帽子の少年は、金髪の少女の手を弾きながら、敷地内の庭園を走り回る。 「どこに行かれるのですか?」「この先!」 小さな茂みの向こうは、屋敷の敷地の外に当たりで少女は悪いこ続きを読む
カテゴリー: 本編
外伝:偽りのレガリア
タチバナ家から戻って数日。王宮には再び平和な朝が訪れていた。 キリヤナギは、変わらず王宮で過ごし、城内を自由に歩き回っては、飼われている動物達を見に行ったり、顔を見にきてくれた貴族とお茶を楽しんだりと、残りの長期休講を続きを読む
第一四話:孤独な休息
王子が旅行から戻り、夏の王宮には数ヶ月ぶりの平和が訪れていた。 アカツキ・タチバナ主導の王宮での工作員掃討作戦とシダレ王の恩赦があると知った工作員達は、セシルやクラークが怪しんでいた者から順に投降。また回収した飛行機も続きを読む
第十三話:静かなる反逆
唐突に起こった花火大会の火災は、数名の花火師たちが重軽傷を負い、会場には多数の救護車両が集い多くの人々が運ばれてゆく。 その車両に紛れ、自害や逃走を図った工作員たちも搬送や護送されてゆく中、ヴァルサスもまた、マリアの遺続きを読む
第十二話:青の宝石
晴天。 夏の日差しが照りつけるアカシア町、カルミアビーチでキリヤナギは、水着でビート板を抱えて目を輝かせていた。白い砂浜には、沢山の観光客がシートを引きパラソルを広げて皆で海水浴を楽しんでいる。 今にも走って行こうとす続きを読む
第十一話:ローズマリーの花畑
「眠い……」「王子」 移動する自動車の中で、キリヤナギは頬杖をつきながら移動していた。昨晩の移動から夜会を終え、王家の別宅にて一夜を過ごしたキリヤナギは、その日早朝からマグノリア領の北東にあるオウカの旧古城へと足を運ん続きを読む
第十話:水の都
その日は晴天だった。 季節の中で最も太陽が輝き日差しが照りつけるオウwカの国で王子は、午後に配達された封筒と向かい合っていた。 春の時のように王立桜花大学院と書かれた封筒は、単位習得を通知する成績表で今日はセオだけでな続きを読む
第九話:騎士の勲章
「はぁー……」 雨が降るその日、キリヤナギは自動車に乗り込みセシルとグランジによって大学まで送り届けられようとしていた。 王宮からでてすぐに発されたそのため息に、グランジは僅かに反応をしめしセシルすらも苦笑している。 続きを読む
第八話:セントラルクラウン
「なるほど、まぁいいだろう」「恐縮です。騎士長」 王宮の敷地内にある騎士棟。今ここに赤の騎士服の男性2人が、執務机を介して向かい合っていた。椅子に座り頬杖をつくのは、茶髪に白髪が混じった男、オウカ宮廷騎士団騎士長アカツ続きを読む
外伝:古き再会
「この辺かな……」「マジでいくのか??」「執行部とは言うが、やはり危険だと思うぞ……」 暖かい日差しが差し込む王立桜花学院にて、今この国の第一王子たるキリヤナギ・オウカは、2人の友人と共に敷地内を歩いていた。 片手に通続きを読む