いかなる場所、いかなる時代であろうとそこに人がいる以上は変わらない営みがある。
食事、睡眠、労働、交友、争い、離別、依存、自立。
これを読んでいるあなたが知らない世界があり、そこには桜花国という国がある。国があればそこには人々があり、その営みを支えるものがある。
王政や貴族制。あなたが想像するような現代技術。張り巡らされた交通網、ライフライン。支える側に回る人材を育て上げる教育機関。
これはそんな国で暮らす二人の人間が体験する何も変わったところのない営みの話。
瞬きのような感情の発露。相互不理解。自傷。失ったものの果てに自分の望むところを知り、成長する。
そして、いくら手を伸ばしても星は最初から手の届かないところにあるものだと悟る。
所謂青春と呼ぶべき、そんなどこにでもある営みのお話。
王立桜花大学院。
国の名を冠する通り、ここ桜花国において最高規模の教育機関。
未来ある若人や多くの人生経験を経て今一度学を修めたいとする者など、様々な人間をより社会で活躍できる人材へと育てる学びの場。
貴族制が存在するこの国では珍しく貴族にも平民にも分け隔てなく門戸を開いており、その全てに平等に叡智と学歴を授けている。